支援が長年あるのになんで発展しないの?国民性?怠けてる?実は絡み合う真実があった

アフリカは長い間色々な国や団体から支援を受けています。
そこでふと思うのが「なぜこんなに長い間支援金や物資が送られているのに発展しないの?」という疑問。

実はそこには色々な「大人の事情」が絡み合っていたんです。

現地に行ったからこそ見えた真実。
そして「善意」が起こす負の連鎖。。。

現地の人はどう感じているの?
私が実際に出会った人々、聞いたことを元にお伝えしたいと思います。

※主にガーナでの話ですが他の国の事例も混ざってます。
※「途上国」「先進国」という言い方は相応しくないという意見もありますが、わかりやすくするために使用しています。

アフリカへの支援が止まらない理由

支援する側と受ける側の文化的意識の違い

支援する側には忍耐力が、支援される側には意識改革が必要!?

アフリカの支援が止まらない理由の1つとして、双方の意識の差が大きいと思います。

以前学校建設に大きな援助が入ったんですが、それが途中で終わってしまったということがありました。なぜだと思いますか?

ガーナでは一部が終わるとお祝いでお昼を食べたりします。もちろん主催者側のおごり。ちょっと何かあると休んだり、何かのお祝いや食費で経費が飛んでしまって計画よりもずっと時間もお金もかかってしまったんです。

これを聞いてどう思いますか?
せっかく支援してもらっているのだから休んでないで働かなきゃ!お昼やおやつまで要求するのは筋違い!と思った方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

でもこれが彼らの文化で今までもずっとそうやってやってきたんです。いきなり「そんなことで休むな!」「経費で食費は出せない!」と言われたら理解できないしそんな辛い仕事は嫌だと言って辞めてしまう人も。。。
そして「援助」という空から降ってきたようなお金。現地の人からしたらもっともらえるんじゃないかという発想に繋がることも。

支援する側の団体としてはきちんと計画通りに進めてもらって報告してもらわないと、支援者に対して報告できない=今後の支援が望めなくなる。最悪その団体の評判も傷がつくいて存続が難しくなることだってあり得ます。

日本人でガーナで起業し、ガーナの人のためにと奔走していた方とお話しした時も「彼らの文化をわかった上で、それをきちんとコントロールできる現地のリーダーを見つけ、指揮を取ってもらうのが本当に難しい」とおっしゃっていました。

支援する側はそのお金を有効に無駄なく使って欲しいと思い、現地の人は今までのやり方で進めたいと思う。
ここで支援者側の意見だけを押し付けてしまうと働き手がいなくなる。現地の人の通りにやっていてはいつまでも終わらないとなってしまいます。

「善意」が生んでしまう「支援慣れ」という負の連鎖

支援や援助というのは基本的には支援、援助する側の「善意」に支えられているもの。
「困っている人を助けたい」と思い募金や寄付をする方も多いと思います。でもそんな支援が実は現地の人の意識を変えてしまっているとしたら。。。

アフリカでボランティア活動などをしているとよく耳にする「支援慣れ」これは支援されることに慣れてしまい、自立心をなくしてしまうというもの。

私がガーナで現地の人に何度か言われたのが「外国人が来てやってくれる。自分たちではできない」という言葉。あまりにショックで毎回「そんなことない!絶対にできる!」と熱弁を振るっていたのですが、その意識はとても根強く、多くの人に浸透してしまっているんです。

これは「怠けている」のとは違うんです。突然外国から人やお金が流れ、何かが出来上がったり支援をされるとそれをまた期待してしまうのは仕方のないこと。
そして今まで自分たちではなかった発想や出会ったことない人たち(外国人)が行うとまるでマジックのように思ってしまうのも仕方がないことなのかもしれません。
さらに外国人が毎日働いて稼いでいるお金の一部を寄付しているのではなく外国人は生まれた時からお金持ちだから自分たちに支援していると思っている人が多いんです。

先進国の事情に翻弄される途上国

国際的支援団体の事情

農村開発などで農業のやり方を支援するというものもあります。
「こういうやり方をすればよく育ち、収穫が多くなるよ!」というような指導を国際的な大きな団体が農村部で行うことがあるんですが、実はここにお金が絡んでいるんです!

国際的な大きな団体だと上への「報告」はもちろん必須。データも必要。
どのくらいの人が参加したのかも重要です。どうやって人を集めると思いますか?

実は参加費をあげるんです。
「これに参加したらお金あげるよ!」そう言われるとその内容よりもお金目当てに参加する。参加するのは実際に働いている人ではなく農園を管理している人だったりするとその内容は働き手に伝わらないことも。

一度お金をもらったら次からもそれと同じような金額を期待しますよね。
別の団体が「村の人のために!」と思って人を集めようとしてもタダでは集まってくれません。

もちろんそんな「開発支援」だけではなく村人と一緒にするやり方をする団体もあります。
ただその場合は突然行っても相手にしてくれません。いきなり外から入ってきた人が「今までのやり方じゃダメ!こうやって!」と言われてもいい気はしないですよね。
その人自体が信用できるかもわからない。もしそこに現地の人に対するリスペクトがなければ余計に邪魔者扱いになってしまいます。

これを聞くと「お金で人を集めるなんて!」と思われると思いますが、規模が大きくなればなるほど上層部へのデータや報告、短い期間でいかに成果を出すかということが求められても仕方のないことなのかもしれません。

途上国の経済をも先進国が左右する!?

ガーナといえばチョコレート!ガーナは世界第2位のカカオ輸出国!(1位はコートジボワール)日本ではガーナからの輸入がなんと8割!
そんなカカオが実は先進国の影響を大きく受けているんです。

カカオ豆はカカオのみの中の種の部分を乾燥させたもの。
カカオ豆。実はカカオの実の中にある種を乾燥させたもの。天日干しで乾かします

ガーナ国内でのカカオの取引価格は国が決めていてカカオ農家の方は決めることができません。そして多くのカカオ農家の方は貧しいと言われています。

じゃあどうやって国はカカオの価格を決めているの?

実はカカオ豆の国際価格はロンドンやニューヨークの先物取引で決められているんです。カカオ豆の収穫量や需要と供給が影響しますが、「投資」というマネーゲームも大きく影響しているんです。

他にも「支援」で企業からタブレットが多く送られたことがあったんですが、電力不足の地域では一過性のものになってしまうことも。。。
直せるものはまだいいですが、何か不具合があったときに直せないものはすぐにゴミとなってしまいます。

支援や寄付をする側は「これは便利でしょ!」と思っていても、それをきちんと活用できなければ将来的に彼らの生活を良くするものにはなりません。そのための使用方法を伝え、活用方法を教え、もし壊れたりした時にはどうすればいいかなども伝える人がいないとせっかくの「善意」もうまく作用しないことになりかねません。

どうすれば支援がいらなくなるのか

現地の人がリーダーとなることの重要性

自立心を養う

外国人が先導を切ってしまうと「やっぱり外国人だからできる」という思考になりやすい。そして「外からいきなり来たくせに」という反発もあります。
現地の人の中でも複雑な思いがあるんだと思います。

でも現地の人でその人が信頼のおける人だと現地の人も聞く耳を持ち、「この人が言うなら」と協力してくれやすくなります。
そしてなにより現地の人だとその土地の風習や生活、現地の人の考えを良く理解しているので、「こうしたらやってくれる」「こうするとダメ」ということをわかっている!
しかも現地語で説明できるのはとても大きい!貧しい地域の人は公用語が英語でも現地語しか話せない人も多いんです。

「同じ土地出身のこの人がやってるんだから自分もできるかも!」と思わせるきっかけにもなる!外国の支援に頼るのではなく、支援が入っていたとしても自分たちの力で建てた!自分たちの力で成し遂げた!と思えるのはとても大切だと思います。

現地の人がノウハウを知ることで持続可能になる

外国人が先導を切ってやってしまうとその人がいなくなった途端にダメになるケースがとても多いんです。
これが一番大きな課題だと思います。
どんなにいいシステムを作っても、それを継続できなければその村や学校、場所が良くなることにつながらない。次の年には支援が入る前と同じ状態に戻ってしまうなんてこともよくあります。

外国人がいなくても現地のリーダーがいればその人を中心に一緒に現地の人たちだけで運営ができ、自分たちで次の世代へも伝えることができる!
支援からの自立で一番大切なことが「持続可能な状態にする」こと。

そのためには現地のリーダーが絶対的に必要
たとえ海外の企業や資本が入っていても、現地のリーダーがいれば現地の雇用も指導もぐっとスムーズになり、現地の人たちの意識も変わります。
質の良いものができれば、彼らのお給料や環境も変わる!
こういうWin Winでフェアな関係のビジネスは今後途上国が発展する上でとても重要。

世界基準の質の良いものを生産できる技術はあるんです。ただそれを監督できる人がいるかいないかで出来上がりが全然変わってしまう。それをわかった現地人のリーダーをいかに育てるかがとても難しい。

アフリカも頑張ってます!

ガーナでは教育システムも見直されてます!

ガーナの職業訓練校の生徒たち
職業訓練校の生徒たち

私はパソコンの先生として教育訓練校でボランティアをしていたんですが、驚いたのが国からのきちんとしたシラバスがきっちりあったんです!
めちゃめちゃしっかりした内容!

ただ。。。残念なことに公立校ではその「立派なシラバス」に沿って授業を行うには足りないものが多すぎる。。。

まず教科書がない!生徒ばかりか先生も持っていない!私がいた時の服飾科の先生は50年前のアメリカの教科書を使っていました。

先生の質も差が大きい。。。良い先生は私立の条件の良い学校に行ってしまうことも。。

そして公立校はお金がないので休みが多い!休みが多すぎて全然進みません。

ガーナは教育システムを今頑張って見直しているところ。
まだまだ至らないところも多いし行き届いていないこともたくさんありますが、国が教育を見直そう!と奮闘し始めているのが見えます。
まだまだ時間はかかるかもしれませんが国が教育に力を入れ始めているのは希望が見えますね!

外国企業の参入でチャンスを掴む人も!

アフリカの多くの首都ではビルが立ち並び、とても近代的な部分もあります。
それは外国企業の参入が大きい!

ガーナでも首都ではUber(ウーバー)というアプリで予約して呼べるタクシーが参入!これがとても便利!ガーナのタクシーは乗る前に交渉で値段を決めるのですが、外国人だと通常の3倍以上言われることもあり、口論になることもあるので利用するときにはとても気を張ります。そして運転手が場所を知らなかったなんてこともありました。

Uberの場合は運転手の顔はもちろん、評価も載るので運転手側としては横柄な態度や乱暴な態度は今後の仕事に大きく響く!
私が利用したUberの運転手の方は100%丁寧!しかも事前に値段も決められているので安心!(ただし渋滞などで予定の金額より多いこともあります)
納得した料金で安心して乗れるというのはとてもありがたい!

乗車中は運転手の方と話すことが多いんですが、Uberで頑張って家を建てて家族を養うんだ!と話していた方も。
学歴がなくても自分の頑張りで成功することができるというのは現地の人に夢を与えますよね!

外資系ばかりでなくガーナ人オーナーの素敵なお店も続々登場!
オシャレ!美味しい!ガーナのおすすめカフェ&レストラン!

ガーナのNGO&日本人が起業したチョコ

美味しいチョコで買った人もガーナの人もハッピー!

もっとカカオ農家さんに支援を!そしてカカオ豆のクォリティだっていいものを目指そう!という現地の人たちの功績が美味しいチョコレートになり、チョコレートを購入することでガーナの人を支援できるという素敵な会社を日本の大学生が立ち上げたんです!

しかもめちゃめちゃ美味しそう。。。
チョコレートは香りでハッピー!食べてハッピー!ですが、作り手側、農家さんもハッピーならさらに嬉しいですよね。

MAAHA

https://maaha-chocolate.shop/

ガーナ人女性が立ち上げた農村部の女の子たちの教育支援NGO

私の友人でもあり、3人の子供を持つ母でもある尊敬するガーナ人女性が立ち上げた農村部の貧しい女の子たちを支援するNGO
どうしてこんなにバイタリティがあるのかと思うほど精力的に活動しています。

私がガーナにいたときには何度か一緒に活動もしていたのですが、頭も良く、現地語はもちろん、英語も上手い、そしてパワフルで行動力がすごい!

以前彼女に「生理用品を配るイベントをするんだけど」と言われたことがあります。
その時に布ナプキンというものを紹介し、型紙を送り、どうやって作るのかを伝えたんです。すると数ヶ月で布ナプキン作りを女の子たちに指導をして布ナプキンづくりの普及を行ったんです!早い!!!

私はお裁縫に精通しているわけではなく、インターネットで調べて型紙や作り方を英語で載せているものを引っ張ってきて送っただで直接指導もしていません。
それなのにこの行動力!素晴らしすぎます。

華もある人なのでラジオやテレビのインタビューも出演したり、アフリカの女性起業家としても賞を受賞するほどの優秀な人!
彼女の活動はFacebookとTwitterでチェックできます。

RuGirlz

https://www.facebook.com/Rugirlzems/

まとめ

アフリカは進歩していないわけではありません。
先進国の事情に翻弄されながらも、とても逞しい人たちなので今どんどん国をあげてよくしようと頑張っています。

もちろん支援のおかげで学校ができ、インフラが徐々に整っていることも確かです。
そしてアフリカの人たち自身の気づきや努力や底力も!

アフリカはポテンシャルのとっても高い大陸だと思います。
これからのアフリカの勢いを応援したいですね。

アフリカって貧しい国?実はいろんな顔がある現代のアフリカ事情